先生。~ 放課後の教室 ~

* Story7. うわさと決意 *

バレンタイン当日。

少し浮ついた気持ちで学校へ行った。

見てくれたかな、先生。

昨日、先生のために、一生懸命に作った

ガトーショコラ。

感想が早く聞きたい。



「おはよう、はるちゃん」

教室へ入って、カバンを机の上に置くと同時に

明るい笑顔で愛結美が声をかけてきた。

「おはよう、あゆちゃん」

そこへ、心優も隣のクラスからやってきた。

「おはよ~、はるバレンタインどーなった?」

「うん、えっとねー...」

私は2人に昨日のことを説明した。

「実は昨日、バレンタインを渡しに行ったの。

渡しに行ったって言っても、先生の靴箱に

入れただけなんだけどね。本当は先生に直接、

渡したかったんだ。だけど、周りの目とか、

渡す場所がないとかで、間接的な方法に

なっちゃったの」



相手は、大人で担任の先生。

この気持ちは、他の人に知られてはいけない。

知られてしまったら、一気に情報が広まってしまう。

そうなると、一番迷惑がかかるのは津田先生だ。

そんなこと、絶対にしたくない。

(津田先生を困らせるのは、絶対に嫌だ…)
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