先生。~ 放課後の教室 ~
帰宅後。

課題をひと通り終わらせた私は、生活ノートを開く。

先生へのメッセージ欄、何書こうかな。

パラパラとページをめくり、今日の日付の項目に

目を落とすといつもの赤い文字で先生から

" バレンタイン、ありがとう "と書かれていた。

受け取ってくれたんだ…!

もちろん、ちゃんとそういうのは受け取ってくれる

人だと思っていたけれど…。

もしかしたら、ちょっと困ってたかな、とか。

グイグイ行き過ぎてるかな、とか。

不安に思ってしまう部分もある。

だけど。

先生からの何気ない一言も、すごく特別で、

渡してよかったんだって感じることが出来た。

(…嬉しいなぁ。味の感想、聞いてみよう)

私はシャーペンを持って、思い思いの言葉を綴った。



次の日。

教室へ入って自分の席でカバンの片付けをしていると、

心優と愛結美がそわそわした状態で駆け寄ってきた。

「はる…、やばいかも。」

心優が心配そうな顔をして言う。

「えっ、何が?」

単刀直入に言われたため、何の事なのか

さっぱり分からなかった。

あいにく、見当がつかない。

ただ、2人のどこか物々しい表情を見る限り、

あまりいい事ではないのはひしひしと伝わる。

「あのね、はるちゃんがバレンタインを津田先生

に渡したことが今、2年の女子の間で噂になってるの」

「…えっ、待って待って。どうして?」

いつから?誰から?

どうして私が津田先生にあげたことを知ってるの?
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