先生。~ 放課後の教室 ~
学校が終わり、家へと帰る。

「はぁ…」

今日は、朝から重い気分だった。

授業の内容もあまり頭に入らず、無意識に

今朝の噂のことについて考えてしまっていた。

別に"犯人探し"をしたいわけじゃない。

その噂の、"根本的な原因"が知りたかった。

(バレンタインの事は、津田先生とみわとあゆちゃんしか

知らないはずなのに、なんで…?)

この噂がどこまで広がってしまっているのかは

正直分からない。

津田先生の耳に届くのも時間の問題。

(明日から、少し気まずくなるかな…)



翌日。

お昼休みで給食当番に行っている愛結美を待つため、

自分の席で読書をしていた。

「おっ、ツンが本読んでる。珍しいなぁ」

ふと前を向くと、津田先生が少し驚いた表情で

目の前に立っていた。

(先生…)

まだ噂のことは知らないのかな。

津田先生の、私への接し方はいつもと変わらなかった。

「…あゆちゃん待ち、なの」

なるべく私も、普段通りの接し方を意識した。

「そうか、愛結美さんは給食当番か。」

なるほど、と頷きながら話す先生。

その間、私は少し周りの視線を気にしていた。

ここで先生とあまり話すと、もしかしたらまた

変な憶測を立てられて、噂されるかもしれない。
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