先生。~ 放課後の教室 ~
―数週間後。
あの噂も落ち着き、今ではだれも気にする人は
いなかった。
そして、この数週間の間で、気になっていた
噂の原因を親友伝いで知ることが出来た。
それは、あの日の放課後―先生にバレンタインを
渡す場所について教室へ聞きに行った時だった。
あの時、教室内には私と津田先生しかいなかった。
ただ、実は忘れ物を取りに来た同じ学年の女子が
たまたまその会話の一部始終を聞いてしまったらしい。
その子は元々、口が軽い子だったみたいで、
何気なく仲のいいメンバーに話してしまい、
そこから噂となって広まってしまった。
あいにく、津田先生にもこの噂は届いたようで
1日、2日くらいは少しお互いに気まずくなってしまった。
だけど、今では前と変わらず笑顔で話しかけてきてくれる。
同級生の恋とは違う。
一歩間違えれば、津田先生に迷惑がかかってしまう。
"教師"という立場を、私が崩してしまうことは
絶対に避けたい。
先生に迷惑がかからないように、
密かに想い続けよう。
私はそう決意した。