先生。~ 放課後の教室 ~

* Story 2. あの日、あの階段で。*

―私は、あの日。


禁断の恋に落ちた。




私が好きになった人。


それは言うまでもなく担任の津田先生だった。


私は先生に" ツン "というあだ名で呼ばれている。


理由は、『先生にだけ" ツンツン "とした態度で


接しているから』だそう。


確かに、津田先生が担任になってから、


話している時は割と素っ気ない感じで接していた。


今はたまにそうなるけど、最初の時よりは減ってる(と思う)。


これは小耳に挟んだことだけど、


津田先生は気に入った生徒にはあだ名を付けるらしい。


本当かどうかは分からないけれど、普通なら


わざわざあだ名を付けて呼ぶことはしないはず。




私が津田先生の、"お気に入りの生徒"...////


そう思うだけで舞い上がるように嬉しかった。




私が先生を好きになったのは、11月の初め頃。


放課後の事だった。


心優と愛結美、私と津田先生の4人で


誰もいない廊下を歩いていた。


「じゃあ、はるちゃんっ。また明日ね!」


私と津田先生の前を歩いていた心優と愛結美が


振り返った。


(・・・あっ、そっか。2人は部活があるんだった)


「うん!また明日!」


私は2人に笑顔で手を振って別れた。


そして、廊下の先にある階段を私と津田先生の2人で降りていた。


先生と2人きりになるのはこれが初めてだった。


(先生と2人きりとか気まずいんだけど...!


何でよりによって津田先生なの!?)


ただの生徒とその担任。


特にこれといった接点がある訳でもなく。


(・・・こういう時って、何話せばいいのか分かんない。)


津田先生は私の少し先を歩いていた。


右手には大量の大きな白い画用紙、


左手には何も入っていない白いカゴを持っている。


荷物重そうだなぁって思っていた時。


先生は私に声をかけた。


「あー、重いなぁ。誰か手伝ってくれんかなぁ。なぁ、ツン!」


私の方をちょくちょく見てくる先生。


・・・えっ。


これって、つまり、そういう事ですよね?


" 手伝え "って事ですよね??


「先生は男なんだから、それくらい頑張って持ちなよっ」


いつものように。


ツンツンとした素っ気ない感じで答えた。


手伝いません!絶対に!!


「相変わらず、ツンは俺に冷たいなぁ...。


ツンだけ、俺に対してそんな接し方なのは。」


大きくため息をつく先生。


いつもこんな感じ。


だけど...。


・・少し冷たくしすぎたかも?


(・・・仕方ないなぁ。)


「・・じゃあ、持ってあげる!」


私は、津田先生の元へと駆け寄った。
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