先生。~ 放課後の教室 ~

* Story 3. 教育相談 *

11月も終わりに差しかかった頃。


私たちの学校では、" 教育相談週間 "という


時期を向かえていた。


全学年、放課後に自分のクラスの担任の先生と


1対1で話をする。





終礼が始まった。


担任の津田先生が教卓の前に立ち、


明日の予定などを報告していく。


「最後に。今日の教育相談は、広瀬さんなので


5時に進路室の方へ来るように。」


" 以上。"の言葉と同時に、みんなは席を立ち、


日直の号令で終わりの挨拶をした。




教室は解放感で溢れかえっていた。


この後、どこかで集まろうと言っている人、


部活嫌だーって嘆いてる人。


色んな会話が聞こえる中、私はこの後の


教育相談のことを考えていた。


( 先生と2人きりになれるんだ...//// )


そう思うだけで鼓動が速くなる。


教育相談の時間まであと20分。


時間を確認していると、ふいに後ろからポンと


肩を軽く叩かれた。


愛結美だ。


「はるちゃんっ、教育相談楽しみだね!」


「緊張する、ちょっとだけ」


「あははっ!頑張ってね!」


「ありがとっ」


そこへ心優も来た。


「あゆちゃん、部活行こー」


「わかった!じゃあ、また明日ね!」


愛結美は明るく笑顔でそう言った。


「うん!2人とも頑張ってね」


心優と愛結美は手を振って、その場を後にした。





教室には私だけが残っていた。


いつもは賑やかなこの教室も。


この時間になると、誰もいなくて静まり返っている。


聞こえるのは、吹奏楽部の楽器の音色と、


時計の秒針が動く音。


オレンジ色の鮮やかな夕焼けが室内を煌々と照らし出す。





午後4時55分。


相変わらず心臓はドキドキしているまま。


治まるどころか、加速していく一方だった。


ポニーテールを綺麗に結び直し、


ほんのり色付く艶のあるリップを塗り、


いい香りのするハンドクリームを少しつけ、


前髪や制服を何度も確認する。
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