先生。~ 放課後の教室 ~
「そういえば、もう大丈夫?元カレの件」


「うん、もうぜんっっぜん大丈夫!」


「そうか、それならよかった」


ほっとした表情を浮かべる先生。


・・・心配、してくれてたんだ。





―あれは、今年の夏。


"元カレ"というのは、私が人生で初めて出来た彼氏のこと。


地元で開催されていた夏祭りで、相手から


告白され付き合うことになった。


付き合っている間は本当に楽しかった。


毎日が幸せでいっぱいだった。


でも、交際して3ヶ月経った頃。


相手からいきなり別れを切り出された。


後々聞いたことだけど、別れの原因になったのは


私が"重かった"から。


まだ"付き合う"っていう事をあまり知らなかった私。


一途に想っていれば勝手に続いていくものだと思っていた。


それが仇となり、失恋してしまった。





フラれた翌日の放課後。


靴箱のところで私は泣きじゃくっていた。


近くには、心優と愛結美がいて傍で慰めてくれていた。


そこへたまたま通りかかったのが、津田先生だった。


涙の訳を親友から聞いた先生は、2人と一緒に


ずっと傍でついてくれていた。


あの出来事からもう1ヶ月くらい経つのに


まだ気にかけてくれてたんだ。


(嬉しい...)


「あの時はありがとう」


伝えたい。津田先生に。


話をたくさん聞いてくれて。


泣いている私を慰めてくれて。


たとえそれが、"先生"という立場でやった事だとしても。


先生達がそばにいてくれたから、私は乗り越えられた。


「いいえ。辛い時は頼ってな」


「うん」


頼もしい。何より、優しい。
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