先生。~ 放課後の教室 ~
「今日は寒いなぁ」


津田先生は窓の方を見ながら言う。


「そろそろ12月だもんね」


「ツンは寒くない?寒かったらストーブつけるけど」


「ううん、大丈夫っ」


「そうかぁ」


先生はハイネックのアウターへ顔をうずめた。


「俺、こうみえて寒がりだから」


「そうなんだ」


・・・寒がり、新発見!


「ねぇ、先生。1つ聞きたいことあるんだけどいい?」


先生はこくりと頷いた。


「先生は恋愛"年の差"って関係あると思う?


2歳とか3歳じゃなくて、10歳差...とか」


「俺は関係あると思う。例えば極端な話、


俺のような25歳の男性が12歳とかの女の子と


付き合うのは社会的に見て犯罪になる。


けど、俺の友達で同級生だけど40歳の女性と結婚してる。」


「すごい年の差...」


「うん、だからその人の年齢や立場によって


恋愛的な見方も変わってくる。


でも、俺自身は年の差ってそんな気にしない。


気が合えば、だな」


津田先生は、自分の恋愛観について教えてくれた。


メールやLINEはあまり重要視しないこと。


サバサバした人がタイプということ。


ここまでくると、教育相談じゃなくて


もはやただの雑談。


でも、楽しいから気にしない。


こんなに話せるのが嬉しかった。


その後も、私と先生は他愛のない話で盛り上がっていた。





「おっ、もうこんな時間か。」


ふいに先生が自分の腕時計を見ながらそう呟いた。


午後5時52分。


楽しかった先生との面談も終わりを迎えていた。


早いなぁ、時間が経つの。


もっとこの時間が続けばいいのに。


「何か困ったことあったらいつでも言いに来てな?」


私の顔を見つめて、優しく微笑む先生。


目が合って、思わずドキッとしてしまう。


鼓動が瞬く間に早くなっていくのを抑えつつ、


平常心を装った。
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