*触れられた頬* ―冬―
「杏奈の奴……やっぱり隠していやがった!」
「え……?」
モモは凪徒の早足に遅れぬよう小走りになりながら、隣で苦虫を噛み潰したような横顔を見上げた。
雪は先刻よりも明らかに大粒になっている。
「おやじもきっとグルだっ。あの二人、ロシアの家系にも椿さんの居場所にも、おそらく辿り着いていたんだ。なのに教えもしないで、この寒い中探させるなんて……どうかしてるぜ!」
グルルゥ……そんな唸り声を出しそうな程、凪徒は悔しそうに歯を喰いしばっていた。
「あの、先輩は何処で誰から情報を得たんですか?」
ふと思う、隠された理由と見つかった場所。
「え? ああ、今朝おやじから変なメールが届いていて、「とにかく何処でも訊いてみろ、サーカスでもだ」ってあったから、ダメ元でニクーリンの窓口でも訊いてみたんだ。そしたら「名字はヤマシナじゃないけど、ツバキって名前の女性なら知ってる」って……──んんっ!?」
──それって、お母さんが『サーカス』と繋がっているってこと!?
凪徒も自分の説明した言葉から、モモの気付いた驚くべき疑惑に、目を丸くして立ち止まった。
「そうなのか……? いや……単にあの受付の姉ちゃんが、お前の母さんと知り合いだっただけかもしれない。ちっくしょ、もっとどういう関係なのか訊いてくるんだった! とにかく、その辺は椿さんに会えれば本人から聞ける……急ぐぞ、モモ!」
「はっ、はいっ!」
慌てて歩を進めた凪徒に、モモも急いで後を追いかけた。
☆ ☆ ☆
「え……?」
モモは凪徒の早足に遅れぬよう小走りになりながら、隣で苦虫を噛み潰したような横顔を見上げた。
雪は先刻よりも明らかに大粒になっている。
「おやじもきっとグルだっ。あの二人、ロシアの家系にも椿さんの居場所にも、おそらく辿り着いていたんだ。なのに教えもしないで、この寒い中探させるなんて……どうかしてるぜ!」
グルルゥ……そんな唸り声を出しそうな程、凪徒は悔しそうに歯を喰いしばっていた。
「あの、先輩は何処で誰から情報を得たんですか?」
ふと思う、隠された理由と見つかった場所。
「え? ああ、今朝おやじから変なメールが届いていて、「とにかく何処でも訊いてみろ、サーカスでもだ」ってあったから、ダメ元でニクーリンの窓口でも訊いてみたんだ。そしたら「名字はヤマシナじゃないけど、ツバキって名前の女性なら知ってる」って……──んんっ!?」
──それって、お母さんが『サーカス』と繋がっているってこと!?
凪徒も自分の説明した言葉から、モモの気付いた驚くべき疑惑に、目を丸くして立ち止まった。
「そうなのか……? いや……単にあの受付の姉ちゃんが、お前の母さんと知り合いだっただけかもしれない。ちっくしょ、もっとどういう関係なのか訊いてくるんだった! とにかく、その辺は椿さんに会えれば本人から聞ける……急ぐぞ、モモ!」
「はっ、はいっ!」
慌てて歩を進めた凪徒に、モモも急いで後を追いかけた。
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