*触れられた頬* ―冬―
「悪かったって! 真っ裸を見た訳じゃないんだから、そんなに怒るなよ~」
「──」
モモは朝食中も移動中も凪徒と視線を合わせず、言葉を交わさなかった。
アルコール抜きで初めて逆転した二人を暮達団員が見たら、それこそ目を丸くすることだろう。
が、此処はロシア──大都市モスクワ。
自分を知る者のいないこの街だからこそ、モモもそんな態度を取ることが出来たのかもしれない。
「モ~モっ!」
凪徒を無視してスタスタと登ってゆく正面階段の半ばで、背中に投げられた大きな呼び声にハタと立ち止まる。
目の前の大きな看板を見上げて薄く笑んだ。
此処は夢の国だ。大人の階段を昇る少女の恥じらいは、一旦端へ追いやろう。
モモはくるりと振り返って階段を駆け降りた。
凪徒の少しいじけたように立ち止まる、その右腕に自分の両手を絡めて、いつもの笑顔で凪徒を見上げた。
「何やってるんですか、先輩! 行きますよ!!」
「え? あ、ああ」
引かれて目指す入口に、凪徒も昨日見せた子供のような笑顔を蘇えらせていた。
ツヴェトノイ・プリヴァール・モスクワ・ニクーリン・サーカス──通称オールド・サーカス。
童心に戻って、楽しもう!!
「──」
モモは朝食中も移動中も凪徒と視線を合わせず、言葉を交わさなかった。
アルコール抜きで初めて逆転した二人を暮達団員が見たら、それこそ目を丸くすることだろう。
が、此処はロシア──大都市モスクワ。
自分を知る者のいないこの街だからこそ、モモもそんな態度を取ることが出来たのかもしれない。
「モ~モっ!」
凪徒を無視してスタスタと登ってゆく正面階段の半ばで、背中に投げられた大きな呼び声にハタと立ち止まる。
目の前の大きな看板を見上げて薄く笑んだ。
此処は夢の国だ。大人の階段を昇る少女の恥じらいは、一旦端へ追いやろう。
モモはくるりと振り返って階段を駆け降りた。
凪徒の少しいじけたように立ち止まる、その右腕に自分の両手を絡めて、いつもの笑顔で凪徒を見上げた。
「何やってるんですか、先輩! 行きますよ!!」
「え? あ、ああ」
引かれて目指す入口に、凪徒も昨日見せた子供のような笑顔を蘇えらせていた。
ツヴェトノイ・プリヴァール・モスクワ・ニクーリン・サーカス──通称オールド・サーカス。
童心に戻って、楽しもう!!