*触れられた頬* ―冬―
[36]躍る心とみなぎる自信
少しばかり待ちくたびれたような凪徒の許へ駆けつけて、モモは数人の団員に伴われ、凪徒とステージの真ん中に立った。
「高い……」
見上げる丸い天井だけでなく、両端の支柱の足場の高さも、支柱同士の距離も、珠園サーカスの物より高く長く感じられた。
「モモ、登ってみるか?」
「はい!」
いつものように正面観客席に向かって左にモモ、右に凪徒が支柱へ走り、勢い良く登り始める。
足場に続くはしごの数も確かに多いが、二人の心には不安よりも、久々に飛べるというウズウズとした期待感が溢れていた。
「モモ、今日は普段着だから飛ぶなよー」
「は、はいっ」
それでもブランコを流して良いか訊いてもらい、許可が下りたので、早速支柱に掛けられていたブランコを宙で放してみた。
赤い背景を流れる白線。思わず飛び出しそうな自分の心。
「後は明日だ。そろそろ降りるぞー」
振り子運動のタイミングを得た凪徒は、モモにそう呼び掛けて先に地面へ向かった。
が、モモは了解の合図をしたものの、降りずにブランコの動きをじっと見つめていた。
「高い……」
見上げる丸い天井だけでなく、両端の支柱の足場の高さも、支柱同士の距離も、珠園サーカスの物より高く長く感じられた。
「モモ、登ってみるか?」
「はい!」
いつものように正面観客席に向かって左にモモ、右に凪徒が支柱へ走り、勢い良く登り始める。
足場に続くはしごの数も確かに多いが、二人の心には不安よりも、久々に飛べるというウズウズとした期待感が溢れていた。
「モモ、今日は普段着だから飛ぶなよー」
「は、はいっ」
それでもブランコを流して良いか訊いてもらい、許可が下りたので、早速支柱に掛けられていたブランコを宙で放してみた。
赤い背景を流れる白線。思わず飛び出しそうな自分の心。
「後は明日だ。そろそろ降りるぞー」
振り子運動のタイミングを得た凪徒は、モモにそう呼び掛けて先に地面へ向かった。
が、モモは了解の合図をしたものの、降りずにブランコの動きをじっと見つめていた。