*触れられた頬* ―冬―
[41]遠い地と違う相手
椿とカミエーリアは女性専用のピンク・タクシーを利用し、開演三十分前にはニクーリン・サーカスへとやって来た。
今日の観客はこの二名様のみだ。
凪徒とモモを含む全員の笑顔が入口で彼女達を出迎え、そして歓待した。
「あら……まぁ……」
さすがにこんな大勢が待ちかねていてくれたことはなく、椿は驚きの声を上げ、車椅子を押していたカミエーリアも、心を持っていかれたような眼差しで立ち止まった。
「カミエーリアさん、お母さん……ようこそ、オールド・サーカスへ!」
練習着に着替え直したモモが、一歩を踏み出し二人を誘う。
譲ってもらった車椅子の後ろへ回り、会場へ向かって押し始めた。
途中いつもと同じように並べられたグッズやスナックのコーナーを覗き、動物達とも写真を撮った。
初めて母親と、そして娘と同じフレームに収まった二人は、一緒に並んだその姿を見てこの上なく感動した。
今日の観客はこの二名様のみだ。
凪徒とモモを含む全員の笑顔が入口で彼女達を出迎え、そして歓待した。
「あら……まぁ……」
さすがにこんな大勢が待ちかねていてくれたことはなく、椿は驚きの声を上げ、車椅子を押していたカミエーリアも、心を持っていかれたような眼差しで立ち止まった。
「カミエーリアさん、お母さん……ようこそ、オールド・サーカスへ!」
練習着に着替え直したモモが、一歩を踏み出し二人を誘う。
譲ってもらった車椅子の後ろへ回り、会場へ向かって押し始めた。
途中いつもと同じように並べられたグッズやスナックのコーナーを覗き、動物達とも写真を撮った。
初めて母親と、そして娘と同じフレームに収まった二人は、一緒に並んだその姿を見てこの上なく感動した。