*触れられた頬* ―冬―
「本当に……私達だけ、なのね……」
客席に着いた椿は、改めて周りを見渡し感嘆の息を吐いた。
それでも二人に加えて凪徒とモモも、自分の出番までは一緒に観覧することにして隣のシートに座る。
「自分達の演舞のみでも構わないと申し上げたのですが、折角サーカスへ来ていただくのに、それでは『伝説のブランコ乗り』のお爺様に申し訳が立たないと、通常の公演と同じ演目で行なうことにしてくださいまして……場所をお貸しいただいただけでも大変有難いご対応だったのですが……」
「ご提案とお申し出、本当にありがとうございます、凪徒さん。桜社長様にも何とお礼を申し上げて良いか……」
椿はこれ以上下げられないところまで首を垂れて、凪徒に礼を捧げた。
間に挟まれたモモも同じように感謝の言葉を告げ、凪徒は二人に慌てた仕草を見せた──その時。
「あ、ほら、始まりますよ!」
オールド・サーカスの、煌びやかなショーの幕開けだ!
☆ ☆ ☆
客席に着いた椿は、改めて周りを見渡し感嘆の息を吐いた。
それでも二人に加えて凪徒とモモも、自分の出番までは一緒に観覧することにして隣のシートに座る。
「自分達の演舞のみでも構わないと申し上げたのですが、折角サーカスへ来ていただくのに、それでは『伝説のブランコ乗り』のお爺様に申し訳が立たないと、通常の公演と同じ演目で行なうことにしてくださいまして……場所をお貸しいただいただけでも大変有難いご対応だったのですが……」
「ご提案とお申し出、本当にありがとうございます、凪徒さん。桜社長様にも何とお礼を申し上げて良いか……」
椿はこれ以上下げられないところまで首を垂れて、凪徒に礼を捧げた。
間に挟まれたモモも同じように感謝の言葉を告げ、凪徒は二人に慌てた仕草を見せた──その時。
「あ、ほら、始まりますよ!」
オールド・サーカスの、煌びやかなショーの幕開けだ!
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