*触れられた頬* ―冬―
[5]あった事となかった事
翌朝の食堂、いつになく言葉少なな暮と、相変わらず無言の凪徒、そして何も喋れないモモが、変な空気を発しながら朝食を進めていた。
「……」
「……ん、……ん」
「……?」
モモは凪徒に一切目を向けず、時々心配そうな顔で真っ正面の暮をチョロチョロ見上げては、その度に暮が「……ん、……ん」と喉の奥で返事をする。
そんなヘンテコなやり取りを凪徒は横目に入れながら、訊ねるタイミングを計っていた。
「ごちそう様でした……」
モモは普段より早く、食事の終わりを告げて立ち上がった。
「モモ、何処か行くのか?」
暮が一言尋ね、
「えと、夫人の所へ……」
その答えに満足そうに、暮は大きく頷いた。
「……」
「……ん、……ん」
「……?」
モモは凪徒に一切目を向けず、時々心配そうな顔で真っ正面の暮をチョロチョロ見上げては、その度に暮が「……ん、……ん」と喉の奥で返事をする。
そんなヘンテコなやり取りを凪徒は横目に入れながら、訊ねるタイミングを計っていた。
「ごちそう様でした……」
モモは普段より早く、食事の終わりを告げて立ち上がった。
「モモ、何処か行くのか?」
暮が一言尋ね、
「えと、夫人の所へ……」
その答えに満足そうに、暮は大きく頷いた。