*触れられた頬* ―冬―
「おい……暮、何か知ってるんだろ? 教えろよ、モモに何が遭ったんだ!?」
モモがプレハブを後にしてすぐ、凪徒は待ってましたとばかりに隣の暮へ問い掛けた。
「何もなかったんだ、お前は安心していい」
正面を向いたまま黙々とご飯をかき込み、淡々と答える暮。
「何もなかった訳ないだろっ、おいっ──」
「ごちそう様~!」
「暮っ!」
トレイを持ち上げながら立ち上がった暮が、表情を見せないまま凪徒を見下ろす。
「モモは自分で夫人の許へ行った。それはモモが前向きな証拠だ。だからもう詮索するな。これ以上心配は要らない」
──暮……?
凪徒が呆然と言葉を失っている内に、暮はスタスタと出ていってしまった。
残された凪徒は口元をいつものへの字に曲げて頬杖を突き、一つ大きく息を吐き出す。
片手で椀を持ち上げ、味噌汁を一気に飲み干した──。
☆ ☆ ☆
モモがプレハブを後にしてすぐ、凪徒は待ってましたとばかりに隣の暮へ問い掛けた。
「何もなかったんだ、お前は安心していい」
正面を向いたまま黙々とご飯をかき込み、淡々と答える暮。
「何もなかった訳ないだろっ、おいっ──」
「ごちそう様~!」
「暮っ!」
トレイを持ち上げながら立ち上がった暮が、表情を見せないまま凪徒を見下ろす。
「モモは自分で夫人の許へ行った。それはモモが前向きな証拠だ。だからもう詮索するな。これ以上心配は要らない」
──暮……?
凪徒が呆然と言葉を失っている内に、暮はスタスタと出ていってしまった。
残された凪徒は口元をいつものへの字に曲げて頬杖を突き、一つ大きく息を吐き出す。
片手で椀を持ち上げ、味噌汁を一気に飲み干した──。
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