*触れられた頬* ―冬―
──何でだよ……どうしてあいつがこんなでっかいこと、独りで背負わなければならないんだっ!!
思い出される暮の言葉──「『これ』はモモの問題なんだ。俺達が口出し出来る話じゃない。俺だってモモを助けたいさ……でも、とてもそんなレベルじゃない……見守ることしか、出来ないんだ……」
──何故だかあいつは事情を知っていて、それで昨日、みんなの祝いにいたたまれなくなったモモを、抱き締め慰めたっていうのか──
「桜、さん?」
凪徒は姿勢を戻し、背筋を伸ばして、洸騎にシルエットの美しい横顔を見せた。
おもむろに右側の出口を目に入れ、振り返って洸騎に告げた。
「悪いが、此処で待っていてくれ」
「でもっ、桜さん!」
──もう、誰にも止められない──
そう言いたそうに腰を上げかけた洸騎を制して、踵を返し駆け出した。
──何か……きっと、他に良い方法が──
それでも何も思いつかないまま、凪徒はモモを隠す団長室を目指していた──。
思い出される暮の言葉──「『これ』はモモの問題なんだ。俺達が口出し出来る話じゃない。俺だってモモを助けたいさ……でも、とてもそんなレベルじゃない……見守ることしか、出来ないんだ……」
──何故だかあいつは事情を知っていて、それで昨日、みんなの祝いにいたたまれなくなったモモを、抱き締め慰めたっていうのか──
「桜、さん?」
凪徒は姿勢を戻し、背筋を伸ばして、洸騎にシルエットの美しい横顔を見せた。
おもむろに右側の出口を目に入れ、振り返って洸騎に告げた。
「悪いが、此処で待っていてくれ」
「でもっ、桜さん!」
──もう、誰にも止められない──
そう言いたそうに腰を上げかけた洸騎を制して、踵を返し駆け出した。
──何か……きっと、他に良い方法が──
それでも何も思いつかないまま、凪徒はモモを隠す団長室を目指していた──。