*触れられた頬* ―冬―
 入ってすぐの簡素な応接手前で、団長がにこやかに微笑み招き入れる。

 園長同行は団長に取り付けてからの決定で、それを伝える時間がなかったのにも関わらず、団長はモモだけでないことに一切の不審も(いだ)いた雰囲気はなかった。

「早野園長、ご無沙汰しておりましたの。そちらは……ああ、娘さんの茉柚子さんかな?」

「モモが大変お世話になっております。はい、娘も施設の職員になりまして、私のサポートをしてくれているものですから」

「そうですか。頼もしいスタッフに恵まれましたの」

「ありがとうございます」

 そうした幾つかのやり取りを終え、茉柚子も団長と挨拶を交わした。

 それから四人は腰を降ろしたが、モモは笑みを崩さない団長と、罪悪感に(さいな)まれたように沈黙する二人の間で、なかなか話を切り出す勇気が持てなかった。

 困って落ちてゆく視線がテーブルの端を含んだ頃、


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