*触れられた頬* ―冬―
「あ、あのっ、ちょっと待ってください! えっと、あっ! そ、そう、あたしの本当の誕生日、今日だって分かったんです! あたし、もう十八歳なんです!! だから、あの、園長先生だけでなく、あたしにも決定権はある筈です! 団長、申し訳ありません……あたしを退団させてください!!」
モモは自分の契約が本日をもって更新されるべきだと主張し、夏の凪徒の失踪事件以来二通目となる辞職届を、テーブルに慌てて差し出した。
「入団時の契約は三月十四日だ。たとえ本来の出生が今日だとしても、契約上は認められんの」
「そんな……」
焦り消沈するモモの泣きそうな顔へ、自信たっぷりに嘆願をはねのけた団長は、ほほっと笑ってモモの頭上の掛時計を見上げた。
「まあま、その話は後にして、そろそろ客人が現れる頃だ。モモ、茉柚子さん、悪いが奥から折り畳み椅子を三脚用意してくれるかの?」
「客人?」
──三脚?
『新たな来客』をほのめかした団長は、自分に集中する驚きの面々に、再びほほっと笑ってみせた──。
モモは自分の契約が本日をもって更新されるべきだと主張し、夏の凪徒の失踪事件以来二通目となる辞職届を、テーブルに慌てて差し出した。
「入団時の契約は三月十四日だ。たとえ本来の出生が今日だとしても、契約上は認められんの」
「そんな……」
焦り消沈するモモの泣きそうな顔へ、自信たっぷりに嘆願をはねのけた団長は、ほほっと笑ってモモの頭上の掛時計を見上げた。
「まあま、その話は後にして、そろそろ客人が現れる頃だ。モモ、茉柚子さん、悪いが奥から折り畳み椅子を三脚用意してくれるかの?」
「客人?」
──三脚?
『新たな来客』をほのめかした団長は、自分に集中する驚きの面々に、再びほほっと笑ってみせた──。