*触れられた頬* ―冬―

[54]過去の告白と未来への展望

「お……お父様っ!?」

「やぁ明日葉、久し振りだね。ロシアは楽しかったかい?」

「はい……あ! 沢山寄付を頂きまして、ありがとうございました!」

 団長の語った約束の時間ちょうどに現れたのは、相変わらず優しそうな笑みを絶やさない高岡紳士と、

「杏奈さんも、大丈夫なんですか?」

「もちろん順調よ。お母さん、見つかって良かったわね」

「ありがとうございます! 色々と手配してくださって、大変お世話になりました!」

 少しお腹に丸みの目立ち始めた杏奈、そして、

「せ……先輩のお父様……この度は母とあたしの為にオールド・サーカスを貸し切ってくださいまして、本当にありがとうございました!! 何とお礼を申し上げて良いのか……」

「そんなに恐縮しないでくれ、桃瀬くん。椿さんも喜んだろう。彼女の笑顔が目に浮かぶよ」

 桜社長が満足そうな表情をして、頭を下げるばかりのモモの目の前に立った。


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