*触れられた頬* ―冬―
[6]積み重ねと積み重なり
洸騎はモモの半年前に当たる九月に生まれ、モモが生まれてすぐに捨てられていた施設には、その半年後の九月に預けられた。
つまり、ちょうど一歳で生後半年のモモと出逢ったことになる。
モモとは違い、育児ノイローゼの母親から放棄されてやって来た。
その為両親の居所は把握出来ているが、洸騎から会いに行くことはなく、時々面会に現れたのも父親だけだった。
年齢的には半年先輩、施設での経歴は半年後輩。
だからこそモモにとっては兄であり弟であり、やはり双子の兄妹とも言える立場の強い存在だったが──。
「洸騎君の「洸」って、さんずいに光って書いて、「騎」はあの騎士とかの騎なんです。あたしは両親がいなかったことや髪の色が薄いこともあって、小さい頃は良くはやし立てられたんですけど、洸騎君がいつも明るく励ましてくれて、いじめっ子から守ってくれました」
モモは再び紅茶を口に含んで、閉じた唇を弓なりに上げた。
懐かしい想い出が温かな液体と共に心の中に広がった。
「そうなの……名前の通りの男の子だったのね」
夫人の呟きにモモも同意の頷きを返す。
つまり、ちょうど一歳で生後半年のモモと出逢ったことになる。
モモとは違い、育児ノイローゼの母親から放棄されてやって来た。
その為両親の居所は把握出来ているが、洸騎から会いに行くことはなく、時々面会に現れたのも父親だけだった。
年齢的には半年先輩、施設での経歴は半年後輩。
だからこそモモにとっては兄であり弟であり、やはり双子の兄妹とも言える立場の強い存在だったが──。
「洸騎君の「洸」って、さんずいに光って書いて、「騎」はあの騎士とかの騎なんです。あたしは両親がいなかったことや髪の色が薄いこともあって、小さい頃は良くはやし立てられたんですけど、洸騎君がいつも明るく励ましてくれて、いじめっ子から守ってくれました」
モモは再び紅茶を口に含んで、閉じた唇を弓なりに上げた。
懐かしい想い出が温かな液体と共に心の中に広がった。
「そうなの……名前の通りの男の子だったのね」
夫人の呟きにモモも同意の頷きを返す。