*触れられた頬* ―冬―

[56]『待て』と待った!!

 それから出資者組は後日契約と打合せを兼ねて、施設を訪れることを確約したが、少々詰めておきましょうと、そのまま大人だけでの話し合いが持たれることとなった。

 モモはしばし席を外す自由を得、昨夕渡し済みの団長を除く全員と、施設で待つ皆の為、ロシア土産を取りに表へ出た矢先、背後から走ってきた凪徒の腕に捕まえられたのであった。

「つまり、それは……」

 一通り概要を聞いた凪徒は、(つぶや)きながらやっとモモを解放したが、モモは最後の凪徒に関する隼人の言葉に関しては、もし話せば脳天から噴火しそうだとの危険を感じ、自分の胸の内に収めておいた。

「は、はい~また先輩のお父様に、お金を使わせてしまいました……」

 肩を包み込んでいた大きな力がスッと消えて、鼓動の高鳴りも徐々に静まり始めた。

 遠慮がちに振り向いて、唖然とした凪徒の顔を見上げ、少々苦々しげにこめかみを掻いた。


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