*触れられた頬* ―冬―
「ありがとうございます。……洸騎君に……その……告白されたのは、園を出てサーカスに移動する当日でした。ずっと兄弟のような存在でしたので、凄く驚いてしまって……何も言えなくて……返事は次に施設に顔を出す時で良いからって」
「それで、モモちゃん、帰れなくなっちゃったのね」
「はい……」
モモは両手の指先をカップの側面に当てながら俯いてしまった。
と、共に夏の凪徒の失踪事件を思い出す。
ずっと片想いの凪徒が腹違いの兄だと言われた時の衝撃。
あれと真逆ながら同じレベルのショックだったことは間違いない。
「昨日、返事はいつ貰えるのかって訊かれました。あたし、時間が経てば、あたしのことなんて忘れるのだと思っていたのかもしれません……でも気持ちは変わらないと告げられて、返事をまた延ばしてしまって……そんな自分がほとほと嫌になりました……」
「それで、モモちゃん、帰れなくなっちゃったのね」
「はい……」
モモは両手の指先をカップの側面に当てながら俯いてしまった。
と、共に夏の凪徒の失踪事件を思い出す。
ずっと片想いの凪徒が腹違いの兄だと言われた時の衝撃。
あれと真逆ながら同じレベルのショックだったことは間違いない。
「昨日、返事はいつ貰えるのかって訊かれました。あたし、時間が経てば、あたしのことなんて忘れるのだと思っていたのかもしれません……でも気持ちは変わらないと告げられて、返事をまた延ばしてしまって……そんな自分がほとほと嫌になりました……」