*触れられた頬* ―冬―
[11]距離と気持ち
★本日10月26日は、偶然にも「サーカスの日」だそうです♪
「ごめん、待たせたな」
「ううん……」
禁煙席の一番角、窓際の端で、息を切らせてきた洸騎を見上げ、モモは首を振った。
ファミレスに着いて三十分、お陰で少し心を落ち着かせることが出来た。
「お腹空いてる? ……それとも……『話』が先の方がいい?」
目の前に座った洸騎が上着を脱ぎ、早速尋ねる。
「ちょっと……お腹空いてきたかも……」
モモは以前のように本題を避けて逃げた。本当は空腹なんてちっとも感じられない。
「じゃあ、何頼む? 僕は……」
それでも注文した料理が並んで一口含めば、それなりに食事は進んだ。
モモはその間何も喋らなかったが、洸騎が時々話す世間話にうっすらと笑みながら相槌を打った。
「さてと……茉柚子さんから話したって聞いたよ。本当は僕があの時話す予定だったんだけどさ、モモに逃げられちゃったから」
「ご、ごめん」
日曜のショーの後、洸騎に抱き締められた『あの時』──モモは身を小さく屈めて、洸騎の眼を見られないまま謝った。
洸騎もまた、困ったように俯いた。
「気にするなよ。あんなこと、突然仕掛けて悪かったと思ってるから……こっちこそ、ごめん」
「……ううん……」
それからしばらく沈黙が続いたが、食後の珈琲と紅茶がやって来て、一息入れた洸騎がようやく口を開く。
「ごめん、待たせたな」
「ううん……」
禁煙席の一番角、窓際の端で、息を切らせてきた洸騎を見上げ、モモは首を振った。
ファミレスに着いて三十分、お陰で少し心を落ち着かせることが出来た。
「お腹空いてる? ……それとも……『話』が先の方がいい?」
目の前に座った洸騎が上着を脱ぎ、早速尋ねる。
「ちょっと……お腹空いてきたかも……」
モモは以前のように本題を避けて逃げた。本当は空腹なんてちっとも感じられない。
「じゃあ、何頼む? 僕は……」
それでも注文した料理が並んで一口含めば、それなりに食事は進んだ。
モモはその間何も喋らなかったが、洸騎が時々話す世間話にうっすらと笑みながら相槌を打った。
「さてと……茉柚子さんから話したって聞いたよ。本当は僕があの時話す予定だったんだけどさ、モモに逃げられちゃったから」
「ご、ごめん」
日曜のショーの後、洸騎に抱き締められた『あの時』──モモは身を小さく屈めて、洸騎の眼を見られないまま謝った。
洸騎もまた、困ったように俯いた。
「気にするなよ。あんなこと、突然仕掛けて悪かったと思ってるから……こっちこそ、ごめん」
「……ううん……」
それからしばらく沈黙が続いたが、食後の珈琲と紅茶がやって来て、一息入れた洸騎がようやく口を開く。