*触れられた頬* ―冬―
と、驚愕と尊敬の眼差しで凪徒の開いたページを目に入れたが、其処には読めそうで読めないアルファベットとは少し違う文字の羅列が見えた。
「先輩、それって……」
「ん? ああ、公演の合間にロシア語を少し思い出そうと思って買ったんだが、やっぱり時間なくてな。到着するまでに多少は頭に入るだろ」
「先輩、ロシア語読めるんですか!?」
「大学で少しかじったって言ったじゃねぇかよ。お前こそ挨拶くらい覚えとけよ?」
言われてモモも慌てて頷き、自分の鞄から少し大きめの冊子を取った。
「い、一応ガイドブック買ってきました! 確か此処の初めの方に会話集が……」
「ガイドって「るる○」かよ……。観光しに行くんじゃないんだから、ロンプラくらい買ってこい」
「ロン……?」
と相変わらずの呆れ顔で、再び鞄から別の厚い本を出してきてモモに手渡した。
「え? あ、あの、これ、全部英語ですが……?」
ロンプラ──正式にはロンリープラネット。
世界を網羅する旅の指南書だが、通常英語版でビッシリ文字ばかりである。(註1)
「先輩、それって……」
「ん? ああ、公演の合間にロシア語を少し思い出そうと思って買ったんだが、やっぱり時間なくてな。到着するまでに多少は頭に入るだろ」
「先輩、ロシア語読めるんですか!?」
「大学で少しかじったって言ったじゃねぇかよ。お前こそ挨拶くらい覚えとけよ?」
言われてモモも慌てて頷き、自分の鞄から少し大きめの冊子を取った。
「い、一応ガイドブック買ってきました! 確か此処の初めの方に会話集が……」
「ガイドって「るる○」かよ……。観光しに行くんじゃないんだから、ロンプラくらい買ってこい」
「ロン……?」
と相変わらずの呆れ顔で、再び鞄から別の厚い本を出してきてモモに手渡した。
「え? あ、あの、これ、全部英語ですが……?」
ロンプラ──正式にはロンリープラネット。
世界を網羅する旅の指南書だが、通常英語版でビッシリ文字ばかりである。(註1)