*触れられた頬* ―冬―
「わー! モモお姉ちゃん、可愛い!!」
『知り合い』はもちろん児童養護施設のメンバーだった。
団長の計らいで会議用プレハブに通された一行は、今か今かとモモを待ち焦がれ、空中ブランコの衣装にカーディガンを羽織った状態で駆け付けたモモの姿を目に入れて、一番小さい子供達が歓声を上げた。
「大勢で見に来てくださって……ありがとうございます! 茉柚子さん」
駆け寄る子供達の波に押されながらも笑顔で受け留めて、真っ正面に立つ少しばかりふくよかな女性に挨拶する。
「モモお姉ちゃん、今は茉柚子『先生』だよ!」
「え?」
自分の真下から言い直された呼び名に驚き、モモはもう一度目線を上げた。
「私、仕事を辞めて園に入ったの。今は母のサポートをしているわ。それより凄いショーだったわね! 興奮しちゃったわよ」
茉柚子はにこやかに微笑み、公演に感激した様子を面に表した。
「ありがとうございます。あの……園長先生は?」
「ごめんなさいね、本当は母も来る筈だったのだけど、急に風邪を引いてしまって……でも大丈夫、微熱程度よ。休演日って水曜よね? その頃には治っていると思うから、時間があるなら寄ってくれないかしら? 母もきっと喜ぶと思うわ」
「は、はいっ、是非伺います。あの……今までずっと会いに行けずにすみませんでした……お大事にしてくださいと、くれぐれも宜しくお伝えください」
「ええ、伝えるわね」
『知り合い』はもちろん児童養護施設のメンバーだった。
団長の計らいで会議用プレハブに通された一行は、今か今かとモモを待ち焦がれ、空中ブランコの衣装にカーディガンを羽織った状態で駆け付けたモモの姿を目に入れて、一番小さい子供達が歓声を上げた。
「大勢で見に来てくださって……ありがとうございます! 茉柚子さん」
駆け寄る子供達の波に押されながらも笑顔で受け留めて、真っ正面に立つ少しばかりふくよかな女性に挨拶する。
「モモお姉ちゃん、今は茉柚子『先生』だよ!」
「え?」
自分の真下から言い直された呼び名に驚き、モモはもう一度目線を上げた。
「私、仕事を辞めて園に入ったの。今は母のサポートをしているわ。それより凄いショーだったわね! 興奮しちゃったわよ」
茉柚子はにこやかに微笑み、公演に感激した様子を面に表した。
「ありがとうございます。あの……園長先生は?」
「ごめんなさいね、本当は母も来る筈だったのだけど、急に風邪を引いてしまって……でも大丈夫、微熱程度よ。休演日って水曜よね? その頃には治っていると思うから、時間があるなら寄ってくれないかしら? 母もきっと喜ぶと思うわ」
「は、はいっ、是非伺います。あの……今までずっと会いに行けずにすみませんでした……お大事にしてくださいと、くれぐれも宜しくお伝えください」
「ええ、伝えるわね」