気高きホテル王は最上愛でママとベビーを絡めとる【極上四天王シリーズ】
誕生日から逆算すると、史哉と付き合っていた時期と重なっている。
衝撃的な報告書を持つ手が震えてきた。
美織が二股をかけるような女性でないのはもちろん、当時、史哉以外にべつの男がいたとは考えにくい。
だとすれば――。
(あの子は僕との間にできた子どもなのか……?)
一週間前、工房で彼女の息子を見かけたとき、じつは〝もしかしたら……〟と予感めいたものを感じていた。というのも昔、母親に見せられた幼少期の自分の写真と彼が瓜二つだったのだ。
先ほどふと浮かんだ疑惑はまさにそれだった。
そうだ。間違いない。
「陽向……」
記載された名前を呟き、報告書を掴んでいた手に力が入る。
それならなおさら美織が姿を消した理由がわからない。史哉との子どもを妊娠したのに、なぜ話してくれなかったのか。
史哉がさらなる疑問に直面していると、退室したばかりの理恵子が再び入室する。
「社長、『ソラスティ』の池内社長からお電話が入っております」