気高きホテル王は最上愛でママとベビーを絡めとる【極上四天王シリーズ】
またか、というのが正直な気持ちだった。
ソラスティは半年ほど前にラ・ルーチェの傘下に入ったホテルであり、北海道を中心にリゾートホテルを展開している。ラ・ルーチェが手薄になっている北海道におけるインバウンドの受け皿として、今後大いに活躍してもらうつもりだ。
「悪いが、外出中だと伝えてくれると助かる」
このところ池内から頻繁に連絡が入り、正直辟易していた。
というのも、目的が自身の娘の売り込みだからである。
仕事の一環として池内の娘と三人で何度か食事をしたが、ここ最近はそのプッシュが目に余るようになってきた。
史哉の叔父も『一生独身というわけにもいかないだろう。そろそろ考えてもいいんじゃないか?』と彼女で手を打たせようとしているから性質が悪い。
「承知いたしました」
理恵子が一礼してドアを閉めると、史哉は深いため息を漏らした。