気高きホテル王は最上愛でママとベビーを絡めとる【極上四天王シリーズ】

渚とのランチから戻ると、工房の敷地内にレンタカーが停車していた。
ギャラリーを見にきたお客さんだろうと思いつつドアを開ける。


「ただい――」


なんの気なしに踏み入れた足をその場で止める。〝ただいま〟も最後まで言えなかった。
そこに辰雄と話す史哉がいたのだ。


「そう身構えないでほしい。今日は仕事の話をしにここへ来たんだ」
「……仕事の、話?」


史哉の言葉を受けて辰雄に視線を移すと、穏やかに頷き返された。

(仕事の話ってなに……?)

そう言われてもピンとこず、息を詰めてふたりを見つめる。


「夏川さんの作る食器に魅せられてね」


史哉がそこで初めて美織に名刺を差し出す。〝ホテルグループ ラ・ルーチェ 代表取締役社長〟とあった。
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