気高きホテル王は最上愛でママとベビーを絡めとる【極上四天王シリーズ】

おそらく美織と陽向のことを調べたのだろう。だから名前や保育園を知っているし、年齢も把握している。二歳半なら、美織が姿を消した時期に重なると。

彼ならそのくらいは容易いはずだ。三年前に工房を見つけたのだってそう。

そこで美織はヒヤッとした。

もしかして史哉は、陽向を奪いにきたのではないか。
再会してからネットで収集した情報によれば、史哉は今も独身。なんらかの理由で後継者が必要なのではないだろうか。

もしもそうなのだとしたら――。


「そうです」
「え?」
「私あのとき、史哉さん以外にもお付き合いしている人がいたんです」


いっそ嘘をついて彼にあきらめてもらったほうがいい。陽向を奪われるくらいなら、彼にどう思われても――。

ハンドルを握っている史哉は、一瞬だけ美織を見てからふっと笑みを零した。
そんな馬鹿な。そう言いたげな笑い方だ。


「信じてください。本当なんです」
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