気高きホテル王は最上愛でママとベビーを絡めとる【極上四天王シリーズ】

「奪おうなんて思ってない。父親としての役割を果たしたいだけだ」
「私は認知してほしいなんて思っていません」


なにもいらない。ただ陽向とふたり、静かに暮らしていきたいだけなのだ。


「認知とかそういうことを言っているんじゃない。僕は――」


史哉の言葉を遮り、カーナビが『目的地付近に到着しました』と告げる。

ムキになって話しているうちに保育園に到着してしまった。
車が駐車場に止められると同時に助手席のドアを開ける。


「送ってくださりありがとうございました」


瞬時に頭を下げ、小走りで保育園の玄関に向かった。
彼に真実を知られた動揺で足がもつれる。

(父親としての役割ってなに? どうしよう、どうしたらいいの……)

遊んでいた女とはいえ、自分の子どもとわかったため責任を感じているのはたしかだ。一流企業の社長という手前、スキャンダルを避けるのが最大の狙いかもしれない。
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