気高きホテル王は最上愛でママとベビーを絡めとる【極上四天王シリーズ】

それでなくても一大リゾートの建築着工で、業界からの注目も高まっている。そんなときに隠し子騒動などというセンセーショナルな話題は避けたいだろう。

保育士の先生に挨拶をして、陽向の手を引いて玄関から出ると、そこに史哉が立っていた。
てっきり走り去っていると思っていたため戸惑いを隠せない。


「自宅まで送っていく」
「いえ、歩いて帰れますから」
「そう言わずに乗って」


足を踏み出した美織の腕を史哉が掴む。


「本当に大丈夫です」


静かにそう返すと、手を繋いでいた陽向が唐突に美織と史哉の間に割って入った。〝ママになにするんだ〟とばかりに史哉を睨み上げる。
小さいなりにさすがは男の子。ママを守るのは自分だと思っているのかもしれない。


「陽向くん、怖がらせてごめん」


史哉はその場にさっとかがみ込んだ。
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