気高きホテル王は最上愛でママとベビーを絡めとる【極上四天王シリーズ】

渚の口からそんな話が出てくるとは思いもせず、美織は目をこれ以上ないほど真ん丸にする。


「よくご存じですね」
「そういった話はどこからか漏れて伝わるものなのよ。これでも私、結構顔が広いの」


決してひけらかすふうではなく、最後のひと言は冗談めかした感じだ。

そんな計画がすでに動きはじめていて、あとは辰雄の説得だけという段階なのかもしれない。まだ決めかねているようだが、美織には了承に傾いているように見える。


「ゆくるの琉球ガラスを広めるいいチャンスだと私は思うな」
「……そうですね」


声のトーンが極端に落ちる。隠していた本音がつい出てしまった。


「あら? 美織さんはあまり乗り気じゃないの? 琉球ガラスを守っていきたいって想いが強いと勝手に思っていたけど」
「琉球ガラスは大事にしていきたいです。でも……」


テーブルにグラスを置き、小さくため息をつく。
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