気高きホテル王は最上愛でママとベビーを絡めとる【極上四天王シリーズ】

渚は話題を戻した。テーブルに身を乗り出して聞く気満々だ。
決して面白半分でないのは、心配そうに揺れている彼女の目を見ればわかる。

沖縄に来てからというもの、渚は祖父母同様に美織に寄り添ってくれてきた。琉球ガラスを愛する美織を応援し、母親としての悩みにいろいろ乗ってくれたのも渚。彼女がいなければ、今の美織はなかったかもしれない。

信頼できる彼女にだからこそ、今抱えている問題を吐き出さずにはいられなくなる。


「……じつは昔、ちょっとだけお付き合いしていたんです」
「え? あの彼と!?」


さすがに渚も驚いたようだ。これ以上ないほど見開いた目は、しばらくそのまま顔に張りついたままだった。

でもそれも無理はない。世界に名を馳せるホテル業界のトップに立つ彼と美織とではつり合いは取れないし、生きるステージからして違う。決して交じり合わないふたりだから。


「もしかして陽向くんの……」


渚がなにを言おうとしているのかピンときた。陽向の父親なのかと問いたいのだろう。
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