気高きホテル王は最上愛でママとベビーを絡めとる【極上四天王シリーズ】
でもそれも、ホテルで彼の決定的な言葉を聞いたシーンまで到達すると、ふたりはとっくに終わっている関係なのだと思い知る。
三年以上も経っているのに、どうしてこんなにも――。
「そうだったんだ……」
すべてを話し終えると、渚は言葉を詰まらせた。
その表情が苦しそうに歪むのは、彼女が優しいからこそ。美織の立場で親身になって聞いたからだ。
そんな彼女を見て、辛い過去を聞かせてしまった申し訳なさに包まれる。
「でももう昔の話ですから」
切なさを笑顔の下に隠して明るい声で返した。
「元カレが現れて動揺しているだけです。変な話をしてごめんなさい」
肩をすくめて口角を上げる。紅芋とバナナのスムージーに口をつけると、話し込んでいる間に常温になっていた。