気高きホテル王は最上愛でママとベビーを絡めとる【極上四天王シリーズ】

「変な話なんかじゃないでしょ。大事な話よ。私の前で強がる必要はないから」
「渚さん……」


美織を見透かした言葉に胸が熱くなる。目頭まで熱をもったが、涙はなんとか堪えた。


「彼は美織さんとヨリを戻したいんじゃないのかな」
「それは違います。遊びだとはっきり言っていましたから」


そこだけは間違いない。誰かから聞かされたのではなく、彼自身の口から出た言葉だ。


「それじゃどうして何度も美織さんの前に現れるの?」
「……陽向が欲しいんだと思います」
「陽向くんを?」
「父親としての役割を果たしたいと言われたので」


我が子に父親と認識してもらいたいのだろう。美織はともかく、血を分けた子どもへの執着だ。


「そうなのかな……」


どことなく納得できない様子で、渚がスムージーにのったパイナップルを頬張る。
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