気高きホテル王は最上愛でママとベビーを絡めとる【極上四天王シリーズ】

その日、陽向を保育園に迎えに行き、作業を終えた工房をふたりで出ようとしたそのとき。工房には似つかわしくない、見慣れない車が敷地内に停車した。

ホワイトパールの高級車は、車に詳しくない美織でも知っている外国産だ。


「ママ、おきゃくさん?」
「そうなのかな」


空は薄紫に色を変え、刻々と濃さを増していくなか陽向と首を傾げ合っていると、運転席から思わぬ人物が降り立った。


「陽向くん、こんにちは。いや、こんばんはかな」
「おにいちゃんだ」


プレゼント攻撃が功を奏したのか、陽向の声が弾む。


「美織もこんばんは」
「……こんばんは」


陽向に向けたままの笑顔でされた挨拶に、不本意にも鼓動が乱れた。


「車、どうしたんですか?」
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