気高きホテル王は最上愛でママとベビーを絡めとる【極上四天王シリーズ】

「美織、バケツはある?」
「えっ」


ボーッと突っ立っていた美織に史哉が振り返る。


「……あ、はい」


使い終わった花火を入れるために必要なのだと気づき、工房の中に足を向ける。水を入れたバケツを持って戻ると、それをしゃがみ込むふたりのそばに置いた。


「陽向くん、どれからやる?」


地面に広げた花火の数の多さたるや。これを全部やるつもりなのかと呆気にとられる。
美織の反応とは裏腹に陽向は目をキラキラと輝かせ、あれこれ手に取って史哉の顔の前に突き出した。


「これー」


ススキ花火にスパーク花火だ。


「よし、それじゃろうそくをつけよう」
< 138 / 309 >

この作品をシェア

pagetop