気高きホテル王は最上愛でママとベビーを絡めとる【極上四天王シリーズ】
「美織、バケツはある?」
「えっ」
ボーッと突っ立っていた美織に史哉が振り返る。
「……あ、はい」
使い終わった花火を入れるために必要なのだと気づき、工房の中に足を向ける。水を入れたバケツを持って戻ると、それをしゃがみ込むふたりのそばに置いた。
「陽向くん、どれからやる?」
地面に広げた花火の数の多さたるや。これを全部やるつもりなのかと呆気にとられる。
美織の反応とは裏腹に陽向は目をキラキラと輝かせ、あれこれ手に取って史哉の顔の前に突き出した。
「これー」
ススキ花火にスパーク花火だ。
「よし、それじゃろうそくをつけよう」