気高きホテル王は最上愛でママとベビーを絡めとる【極上四天王シリーズ】
史哉が自分のスマートフォンの画面を美織に見せる。そこにはおどけたポーズをとって笑う美織がいた。
バンクーバーのイングリッシュベイで撮った写真だ。奇妙なパブリックアートの真似をしたときのものである。
「……まだ持っていたんですか」
まさか史哉が削除せずに保存しておくなんて。どうして……。
「永久保存版だと言ったのを忘れた?」
いたずらっぽく笑った彼の目が、どことなくその奥に甘さを秘めていて胸が騒ぐ。
「だけどそれは……」
そのときの楽しい雰囲気の流れで出た言葉。ふたりがずっと付き合いを続けてきたのならまだしも、三年以上も前に別れている。
思いも寄らない写真を見せられ動悸が止まらない。まるで〝大切なものだ〟と言われているように錯覚する。
「ちょっとトイレに行ってきます。すみませんが、陽向をお願いします」