気高きホテル王は最上愛でママとベビーを絡めとる【極上四天王シリーズ】
史哉から注がれる愛をあきらめれば、陽向を挟んで彼と一緒にいられる未来があるかもしれない。史哉は美織から陽向を奪うようなことはしないと断言していた。
それならいっそ、それを逆手にとって彼のそばにいられるのでは。
愛されなくてもいい。もともと愛は存在しなかったのだから。
卑怯かもしれない。卑劣な手段だと罵られるかもしれない。
でもそうすれば陽向にも父親を与えられ、美織は愛する人のそばにいられる。
行き過ぎた想いに囚われていた美織を呼び戻したのは、陽向が呼ぶ声だった。
「ママ!」
ジンベエザメの給餌が終わり、人が散り散りになっていく。
「おもしろかったね」
「そうね、すごかったね」
「ジンベエザメが口を開けたら、陽向くんも丸飲みできそうだ」
「やだー! たべたらダメー!」
ハハハと史哉の声が響き渡る。