気高きホテル王は最上愛でママとベビーを絡めとる【極上四天王シリーズ】
アパートに到着するまで陽向は一度も目を覚まさなかった。
「僕が降ろすよ」
後部座席のチャイルドシートから史哉が陽向を抱き上げる。かすかに声を漏らしたが、安心しきったように部屋まで史哉に抱っこされた。
急いで布団を敷き、陽向を寝かせる。一度眠りにつくとなかなか起きないとはいえ、ここまでよく寝入っているのは珍しい。普段二時間はとっているお昼寝をしていないせいもあるかもしれないが、たっぷり遊んで疲れたのだろう。
陽向の寝顔をしばらく眺めていた史哉が立ち上がって玄関へ向かう。
「今日はありがとうございました」
史哉を労ってお茶の一杯くらい出すのが礼儀なのかもしれないが、そうする勇気はまだない。陽向を挟んで話すならともかく、ふたりきりの空間はどうしたらいいのかわからないのだ。
靴を履き、史哉が美織に向きなおる。
「楽しかった?」
「はい。陽向もとても喜んでいました」