気高きホテル王は最上愛でママとベビーを絡めとる【極上四天王シリーズ】
「陽向くんじゃなくて美織自身のことを聞いてるんだけど」
朝と同じように美織の感想を求める。
瞬間的に頭に浮かんだ水族館での数々のシーンは、陽向はもちろん美織も自然な笑顔だった。楽しかったのを疑う余地はない。
「楽しかったです。……とても」
小さく答えながらも実感がこもる。
そこにどうしても募る切なさは、史哉への想いを再認識したことによる副産物だ。
「史哉さんは――」
〝楽しかったですか?〟と尋ね返そうとした言葉が尻切れトンボになる。史哉に手を引き寄せられ、不意打ちで抱きしめられた。
一瞬なにが起きたのかわからなかったが、事態を理解した心臓が早鐘を打っていく。
(どうして……?)
史哉は陽向との触れ合いだけが目的。そこに美織が入り込む隙はないはずだ。
それならこの状況はなぜ――。