気高きホテル王は最上愛でママとベビーを絡めとる【極上四天王シリーズ】
フロントやレストランを集めたホテル棟は、周囲の景観を壊さないよう二階建てという低い階層となっている。
「どこからも海を近くに感じられる造りのようだね」
「自然のままの景観と海との一体感をなにより大事にして設計を進めたので、会長を満足させる自信はあります」
「ほう、それは楽しみだ。マスコミもこぞってここを取り上げるだろう」
浩一郎が頬を緩めると、目尻に深い皺が寄った。
「ところで史哉、仕事に打ち込むのもいいが、そろそろ本気で身を固めてはどうだ」
不意に話題がリゾート開発から大きく逸れる。浩一郎は目の前で繰り広げられているタラソプールの工事から、史哉に視線を向けた。
「独身を貫くというのは本気ではあるまい? 昨日も政次に『兄さんからもはっぱをかけてくれ』と言われたよ」
政次というのは父の弟であり、史哉を全面的にバックアップしてくれている副社長である。彼自身が子どもに恵まれなかったせいか、甥っ子である史哉の結婚相手を熱心に探しており、これまでに何人もの女性を紹介されてきた。