気高きホテル王は最上愛でママとベビーを絡めとる【極上四天王シリーズ】
「美織には負けていられないしな」
「そうよ、おじいちゃん。私もサポートするから」
「頼りにしてるぞ」
辰雄が美織の肩をトンと軽く叩き、「早速なんだが」と続ける。
「明日、ラ・ルーチェの本社に届けてもらいたいものがあるんだ」
作業台の近くにある引き出しからA4サイズの封書を取り出し、美織に差し出した。
「……ラ・ルーチェの本社に?」
手を出しつつ目をまたたかせる美織に辰雄が頷く。
ラ・ルーチェの本社といったら東京だ。
「なにが入ってるの?」
「取引を締結するための契約書だ。先日、瀬那さんが来たときに『決心がついたら、こちらを』と置いていったものでね」
三日ほど前に彼がここを訪れたときに辰雄と一時間ほど話していたが、そのときに渡していったようだ。