気高きホテル王は最上愛でママとベビーを絡めとる【極上四天王シリーズ】
腕を離してもらおうとした反動でよろける。かえって男性の体に寄り掛かるようになってしまった。
あまりにも強引な態度には困惑しかない。
『日本語、教えてくれないかな。習ってみたいと思ってたんだ』
それが単なる口実なのは、この手の誘いに疎い美織にもわかる。
「ほんとに離してください」
混乱して日本語に戻りながら、彼の手を振り払おうと押し問答していると、不意にべつの声がかけられた。
『久しぶりだね』
それにつられてパッと見ると、三十歳前後の男性が立っていた。外国人男性も長身だが、それよりもさらに背が高い。一八〇センチは超えているのではないか。
英語で話しかけられたが、日本人っぽい容姿をしている。しかも怯むほどの美形だ。
おかげで数秒間、彼を凝視してしまった。
グレーのショールカラーカーディガンに白いカットソー、ジーンズを合わせたカジュアルなスタイルには、品の良さが漂っている。