気高きホテル王は最上愛でママとベビーを絡めとる【極上四天王シリーズ】
美織に声をかけたみたいだが、見知った顔ではない。
(久しぶりって言ったけど、人違いじゃないかな……?)
当惑する美織に、その男性はなにやら目線で訴えながら「僕に合わせて」と日本語で囁いた。
(もしかして、知り合いのふりをしてくれてるの?)
しつこいナンパに困っている美織に助け船を出してくれたのかもしれない。
『お、お久しぶりです』
彼に合わせて知り合いのふりをする。たどたどしい言い方になったが、さも友好的な空気を醸し出した。
『すみませんが、彼女は僕の友人なので』
美織たちのやり取りを最初から見ていたのかもしれない。彼が流暢なフランス語で、外国人男性から美織を引き離す。
『友人? キミの?』
外国人男性の目が美織に向けられる。
フランス語のためなにを言っているのかわからないが、腕を解放された隙に日本人男性の背後に体を半分隠すようにした。