気高きホテル王は最上愛でママとベビーを絡めとる【極上四天王シリーズ】
理恵子との通話を切った直後、ジャケットのポケットに入れたスマートフォンが着信を知らせて震える。
なにか言い忘れたことでもあったかと理恵子を予想したが、画面に表示されたのは美織の名前だった。
(まさかなにかあったわけじゃ……)
決して軽度とはいえない火傷だったため、容態が急変したのではないかと不安が過る。慌てて応答をタップして耳にあてた。
「美織、陽向くんになにか――」
『あっ、いえ、そうじゃないんです。朝早くにごめんなさい。じつは今、陽向と一緒にホテルのロビーにいて……』
「ホテルのロビーに?」
予想に反した美織の言葉に一瞬困惑する。
「すぐに行く」
スマートフォンをもう一度ポケットに突っ込み、急いで部屋を出た。
最上階から下りていくエレベーターはちょうど朝食の時間と重なったためか、各階層で止まっては人を乗せていく。