気高きホテル王は最上愛でママとベビーを絡めとる【極上四天王シリーズ】
「いい感じだよね」
辰雄の作品には遠く及ばないが、渚はきっと気に入ってくれるはずだ。
狙い通りの作品ができたときの高揚感といったらない。ウキウキしながら商品をひとつひとつたしかめていると、工房のドアが開いた。
「こんにちは。こちらはゆくるさんでお間違いないですか?」
「はい、そうですが……?」
入ってきたのは六十歳前後の男性だった。
セーターポロにホワイトのストレッチパンツを穿き、ツイードのジャケットを合わせたおしゃれな紳士だ。穏やかな目元に既視感を覚える。
手にしていたグラスをいったん置き、男性に体を向けた。
「琉球ガラスを使った作品を作っていると聞きましてね」
「はい、たしかにそうです。とはいっても私はまだ修行中の身で、祖父が主に手掛けております」
辰雄と悦子は定期的に受けている健康診断で那覇市の病院に行っており、今日は美織がひとりで留守番をしている。