気高きホテル王は最上愛でママとベビーを絡めとる【極上四天王シリーズ】
「そうですか。少し見せていただいても?」
「もちろんです。あちらにギャラリーがありますのでどうぞ」
隣接したギャラリーへ案内する。十畳ほどのこぢんまりとしたそこには、グラスはもちろんランプや花瓶などが並ぶ。辰雄の作品に交じって美織のものもある。
男性はゆっくり足を進めながら、たまに作品を手に取ってじっくり眺めた。
「沖縄へは観光でいらしたんですか?」
「ええ、まぁそうですね。恥ずかしながら琉球ガラスをこうしてまじまじと見るのは初めてなんですよ」
「そうでしたか」
知ってはいても、見たことがないという人は珍しくない。
美織が東京のインテリア雑貨を扱う店、クラスティで働いていたときも、同僚の中にはその存在すら知らない人がいたくらいだ。
「光の美しさを感じますね」
男性は青系の小さなガラスの粒をちりばめた、ころんとした丸いグラスを窓から差し込む陽光にかざした。