気高きホテル王は最上愛でママとベビーを絡めとる【極上四天王シリーズ】
そういえば、と思い返す。
先ほど外国人男性に声をかけられたとき、美織ははっきり断れなかった。まだ飲みはじめたばかりだとは言ったが、嫌だとストレートに伝えていない。
女のひとり旅なのだから、もっとはっきり自己主張しなければ自分の身を自分で守れないと気持ちを引きしめる。
「海外では気をつけます」
肩をすくめて軽く頭を下げた。
「海外だけでなく、日本にいても気をつけるに越したことはないですよ」
彼の言葉はもっともだ。美織は笑みを浮かべながら「はい」と返した。
「よろしかったら、助けていただいたお礼に一杯ごちそうさせていただけませんか?」
もしも彼が間に入ってくれなかったら、外国人男性に無理やり連れ出されていたかもしれない。怖い想いをする可能性だってあった。ここはお礼をするのが礼儀だろう。