気高きホテル王は最上愛でママとベビーを絡めとる【極上四天王シリーズ】

結局呼び方を変えない陽向に萌花が激しく突っ込み、再びその場が笑いに包まれる。賑やかな声が星のまたたく夜空に響いた。


「ところで美織さん、結婚したらやっぱり東京へ行っちゃうのよね?」
「そりゃあそうだろう。結婚するんだから」


渚の質問に拓也が答える。
やはり一般的にはそう考えるのが当然だろう。結婚イコール同居だと。

これまでずっと離れていたうえ、子どもがいればなおさら。でも……。


「じつはまだ決めていないんです」


正しく言えば、その点を史哉と話し合っていない。


「それじゃ沖縄と東京で遠距離夫婦の可能性もあるってこと?」
「はっきりはなんとも言えないんですけど」


史哉は東京の本社だけでなく世界中を飛び回る立場にあり、美織には琉球ガラスの工芸家という道がある。ふたりそれぞれにいなければならない場所があるのだ。
簡単には決められない。
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